1985年に男女雇用機会均等法が制定され、その後大幅改正が行われたこともあって男女の別がない「保育士」の名称が使用されるようになりました。
しかし、まだまだ男性保育士は少ないのが現状。なぜ、男性保育士は少ないのか、年収、メリットやデメリットについて紹介します。
厚生労働省「保育士登録者数(男女別)」によると、令和2年4月時点の男性保育士の登録者数は82,330人で保育士全体に占める割合は約5%。保母から保育士に制度が変わった1999年から20年以上経過していますが、まだまだ男性保育士が少ないことがわかります。
その理由としてまず考えられるのは給料の安さ。男女を問わず保育士は仕事内容の割には給料が低く、将来的な不安から志望する男性が少ないと考えられます。
厚生労働省「保育士の現状と主な取り組み」によると、男性保育士の平均年収は389.2万円。女性保育士の平均年収は362.1万円なので、わずかながら男性保育士の年収が上回っています。
一方、全職種の男性平均年収は561万円。保育士の平均勤続年数が全職種平均と比較して7.6年少ないことを差し引いても、決して年収が高いとは言えない状況です。
一般的に男性と女性とでは基礎体力に差があるため、男性保育士であることを活かしてドッヂボールや鬼ごっこなど、体力を伴うダイナミックな遊びができます。
軽々と子どもを抱き上げることもできるため、子どもからも求められる保育士となるでしょう。
男性保育士がいることで、男児の排せつ援助や指導をよりスムーズに行うことができます。遠足などで外に出る機会があっても、男性保育士なら男子トイレに連れて行くなど男児へのケアも可能。
また、最近増えている男性の一人親家庭の相談にも、同じ男性の立場で相談に乗ることができます。
園庭の整備や行事の準備、後片付けなど、園には力仕事もたくさんあります。女性保育士に負担がかかることでも、男性保育士ならスピーディーに行うことが可能。
また、不審者や災害時の対応についても、男性保育士がいるだけで子どもや保護者、同僚女性保育士も安心するので、職場で頼りにされる存在となるでしょう。
保育園では、子どもの性別を問わず着替えや排せつを失敗した際の処理などを行う必要があります。過去に男性保育士による不祥事も発生していることもあり、保護者の中には不安や警戒心を抱く人がいる可能性も。しかし、誠実に保育に向き合い、信頼関係を構築すれば、警戒心や偏見を払拭することができます。
会社の営業職のように、売上の目標を数字で設定してそれを達成することで給料が上がることはないため、モチベーションを維持することが難しいタイプの男性もいるでしょう。
しかし、国も本格的に保育士の待遇改善を進めており、キャリアアップ研修により役職に就くことで給料のアップや出世もできます。
待機児童問題などにより、今後も保育士の需要が減ることはないと思われます。また、幼児体育やスポーツインストラクターなどの資格を取得したり、管理職を目指したりすることにより、就職先や待遇面にも良い変化が生まれます。
保育士を目指せる大学の中には、幼稚園教諭や小学校教諭の免許も取得できるところもあり、就職先の選択肢も増えています。男性保育士としての道を検討してみてはいかがでしょうか。
※選定基準:
愛知県で保育士資格、幼稚園教諭・小学校教諭免許のいずれかの取得を目指せる大学のうち、保育士資格・幼稚園教諭・小学校教諭の同時取得も可能な大学の中から、以下の基準に沿ってピックアップしています。(2022年3月調査時点)
・名古屋芸術大学…資格取得+αの力をつけられるコースの数が最も多い大学(7コース)
・桜花学園大学…最新の実績で、公立園および公立小学校(特別支援含む)の就職人数を明示していて最も多い大学(2020年度 計64名)
・椙山女学園大学…SSK(名古屋の女子大御三家)のうち、偏差値が最も高い大学(教育学部保育・初等教育専修の偏差値…50.0~52.5※)
※参照元:スタディサプリ(https://shingakunet.com/gakko/SC000150/nanido/)